PoC 営業資料: 事前審査による意思決定ガバナンス (ADR-0121 Phase 0-3)
Decision Review Pipeline (DRP) を PoC 顧客に提案する営業資料の SSoT。ADR-0121 §Phase 0-3 の要求 = 「事後監査でなく起案前に質を作り込む事前審査」の差別化軸言語化を軸に、Phase 0-1 の実測ダッシュボード (Phase 0-1 実測) と Phase 0-2 のデモシナリオ (poc-demo-scenarios.md) を束ねる。
§0 このプロダクトが解く問題
組織の意思決定を、特定の人物に依存しない・検証可能な持続可能なガバナンスに変える。
創業 proposal (tasks/proposals/decision-pipeline-productization.md, 2026-06-04 マージ) の位置づけに沿い、次の 4 対象の困りごとを解く。
| 対象 | Before (現状) | After (このプロダクト導入後) |
|---|---|---|
| 経営者・創業者 | 自分が見ないと判断の質が担保できない (ボトルネック) | 関与を最終承認の一点に圧縮 · 見ていなくても質と安全が担保される |
| 現場・若手 | 詳しい人を捕まえないと提案が進まない | 提案するとその場で盲点指摘・過去決定との矛盾チェック・採点が返る |
| 取締役会・投資家 | 意思決定がキーパーソン依存 (カリスマリスク) | 決定が記録・採点・監査証跡つきで残り、独断専行が構造的に起きにくい |
| 監査・内部統制 | 「なぜそう決めたか」の証跡が散在 | ADR + 審査ログが自動で蓄積される · 改ざん検知・追跡可能 |
§1 差別化軸: 事後監査ではなく事前審査
1.1 主張
- 既存の GRC / ワークフロー製品: 決まった後の記録・承認履歴を残す (事後監査)
- 本プロダクト: 決まる前に起案の質を作り込む (事前審査)
事前審査は「AI が判定する」機能ではなく、「起案本文が判断に足る内容かを機械的に検査し、不足を指摘して起案者に戻す」仕組み。最後に決めるのは人間で、AI は判断の材料が揃っているかを見張る。
1.2 事前審査が効くしくみ
| 検査ゲート | 見張る対象 | 効き方 |
|---|---|---|
| 起案前ゲート (pre-gate) | コスト試算 · 撤退条件 · Confirmation KPI の 3 節が定量条件を満たしているか | 数値未記載を機械的に検出し、起案者に「数字を入れて再投入」を促す |
| Cross-Validation | 起案本文の盲点 · 過去決定との矛盾 | 独立した観点で反証を試み、消えない反証を盲点として返す |
| bounded rounds | Cross-Validation の過剰審査 loop | 3 round で停止 · HITL に戻す (「これ以上 AI で判定を積み上げても質は上がらない」判定) |
| Gate 4 採点 | 全体の質を 0-49 で採点 | 40 点以上で通過 · 未満は差戻し |
| triage 分岐 | 案件の重み (Light / Standard / Critical) | Critical は経営会議付議推奨 · Light は簡易 pipeline で素早く通す |
1.3 「AI が判定する」ではなく「判断の場を用意する」
- Critical 起案は自動通過ではなく 経営会議への付議推奨 を返す (poc-demo-scenarios.md §4)
- bounded rounds が発動したら HITL エスカレーション で人間の合議に戻す (同 §6)
- pipeline は判断そのものを下さない · 判断に足る材料が揃っているかを見張る
§2 ドッグフーディング実績 (自社運用ダッシュボード)
自社で本番稼働中の実測値。ガバナンス商材で最も効く証拠。
2.1 実測サマリー (2026-05-27 〜 2026-07-01 · 35 日間)
| 指標 | 実測値 | 意味 |
|---|---|---|
| 総 run 数 | 360 | 35 日で 360 件の意思決定を pipeline に流した |
| 差戻し率 | 43.33% | 起案本文の不足を機械的に検出して戻した割合 |
| 盲点検出数 (per run 平均) | 8.24 | 1 起案あたり平均 8 件の盲点を Cross-Validation が指摘 |
| bounded rounds 発動率 | 2.5% | 過剰審査 loop の停止機構が働いた割合 (適正水準) |
| triage Standard 比率 | 76.7% | 主要な起案は Standard で処理 |
| triage Critical 比率 | 18.1% | 不可逆コミット判定は Critical |
| pass rate (score 記録あり分) | 85.8% | 差戻し → 再投入で通過に至る率が高い |
本ページの数値は自社の実運用ダッシュボード (D1 telemetry 集計) から取得しており、架空デモとは別物です。
2.2 実測から読み取れること
- 差戻し 43.33% は「AI が却下する」のではない: rejection の主要因は
placeholder-remaining/pregate-dangling-premise/cost-missing= 起案本文の記入漏れの機械検出であり、起案者が追記して再投入すれば通過する仕組み - 盲点 8.24 件/run: 独立した観点で反証を試み、起案者が本文追記で解消する運用が定着している
- bounded rounds 2.5%: 過剰審査 loop の停止機構が「稀な安全弁」として想定範囲で機能している
2.3 ダッシュボードの再現性
自社ダッシュボードは集計 script (drp/scripts/dashboard-metrics.mjs) から再現可能。手集計の一点ものではなく、SSoT の script + D1 telemetry から任意の期間で再現できる (ADR-0121 §Confirmation 1)。
§3 デモ体験 (架空企業の起案 5 件)
本セクションのデモシナリオは架空企業を想定した例示であり、自社および PoC 顧客の実審査データとは別物です。
デモ環境 (drp-demo.bizlp.dev · 仮) で 5 件の架空起案を投入し、pipeline の主要な挙動を体感してもらう。各シナリオの詳細は poc-demo-scenarios.md を参照。
| # | 業界 | 意思決定論点 | 見せる挙動 |
|---|---|---|---|
| 1 | 製造業 (精密加工) | 5 軸 CNC 更新 5,000 万円 | 通過 · 盲点検出 (税制優遇の期限見落とし) |
| 2 | IT 企業 (SaaS ベンダー) | CRM 乗り換え (Salesforce → HubSpot) | 通過 · 費用構造の盲点 (Tableau 再結線コスト) |
| 3 | サービス業 (美容チェーン) | 新業態フィットネス出店 3,000 万円 | Critical triage · 経営会議付議推奨 |
| 4 | 建設業 (元請け) | 下請け 3 社比較 → 2 社単価契約 | 差戻し (cost-missing) · 再投入で通過 |
| 5 | 医療法人 (200 床) | 電子カルテ更改 | HITL エスカレーション (bounded rounds 発動) |
3.1 デモの狙い
- 通過 3 件: pipeline が判断を助ける挙動 (盲点指摘 · 費用構造の再確認)
- 差戻し 1 件: pre-gate による差戻しが「AI が却下する」のではなく「起案の欠落を機械的に検出する」ものだと示す
- HITL 1 件: 高リスク領域で pipeline が「決めきる」のではなく「決める場を用意する」構造を示す
§4 PoC の枠組み (Phase 1)
本セクションのデモシナリオは架空企業を想定した例示であり、自社および PoC 顧客の実審査データとは別物です。
4.1 PoC 期間と出口条件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期間 | PoC 開始から 8 週間 (延長条件あり) |
| 出口条件 | 顧客の実起案 10 件が pipeline を通過し、顧客が「続けたい」と言う |
| 費用 | 無償または実費 (LLM 従量分) · 月 200 USD 上限 |
| データの扱い | PoC 顧客専用の単一テナント環境 (別 Worker + 別 KV/D1 namespace) で預かる |
| 終了時 | 削除検証手順書 (poc-cleanup-procedure.md) に沿ってデータ全削除 |
4.2 契約条項の要点
顧客契約書 (DPA · GDPR Article 28) に組み込む条項の要約。詳細は poc-cleanup-procedure.md §2 を参照。
- 削除可能レイヤ: KV / D1 / DO / Queues / Vectorize の 5 種類は PoC 終了時に手順書に沿って削除
- 削除不可レイヤ: Cloudflare が保持する Workers 実行ログ (最大 90 日)・DO 内部 metadata (経験則 90 日以内)・Queues DLQ metadata (4 日)・Vectorize index metadata (通常 30 日以内) は契約書で除外範囲を明示
- 法務レビュー: PoC 候補確定前に法務レビューを経て DPA 条項の要否を判断
4.3 データ分離の限界と対応
- Phase 1 (PoC): マルチテナント分離は実装しない。PoC 顧客ごとに別 Worker + 別 namespace で分離する 単一テナント環境 を用意する
- Phase 2 (将来): マルチテナント設計を Phase 1 出口後の別 ADR で決定する
- Entra ID OIDC: 顧客認証はマルチテナント Entra ID OIDC を固定制約とする (ADR-0110 OQ-3)
§5 導入プロセス
- 商談 · デモ (0-2 週): デモ環境で 5 件のシナリオを体験してもらう · 差別化軸を確認する
- 法務レビュー (2-3 週): 契約書 (DPA) の条項を法務が確認する
- 契約締結 (3-4 週): PoC 期間・出口条件・削除条項を明記して締結
- PoC 環境セットアップ (4-5 週): 顧客専用の Worker + KV/D1 namespace を立ち上げる · 削除手順書を顧客に共有
- PoC 伴走 (5-13 週 = 8 週): 顧客の実起案 10 件を pipeline に流す · 差戻し率 · HITL エスカレーション率を記録
- 出口判定 (13-14 週): 10 件通過 + 顧客の継続意思を文書 (メール可) で取得 · Phase 2 移行判断の材料にする
- PoC 終了時の処理: 契約に沿って削除手順を実行 · 完了報告を顧客に送付
投下工数の上限: 弊社側は週 1 人日キャップ (ADR-0121 §制約) · 超過が 2 週連続したら着手ペースを再調整する。
§6 想定される質問と答え
6.1 「AI が意思決定を代行するのですか」
いいえ。最後の判断は経営者・意思決定者が下します。pipeline は「判断に足る材料が起案本文に揃っているか」を機械的に検査し、不足を指摘するものです。Critical 起案は経営会議への付議を推奨し、bounded rounds が発動した場合は HITL エスカレーションで人間の合議に戻します。
6.2 「LLM への入力で情報が漏れないか心配です」
- LLM は Anthropic API を利用します。Anthropic のポリシーでは API 経由の入力を学習データに使わないと明示されています
- PoC 環境は顧客専用の Worker + KV/D1 namespace で分離し、他顧客のデータと混ざりません
- 削除不可レイヤ (Cloudflare Workers 実行ログ · DO 内部 metadata 等) は契約書で除外範囲を明示し、含まれる情報は識別子の hash 化などで PII を落とします
6.3 「自社の意思決定文化に合うかわかりません」
- 現行の評価軸・閾値・テンプレートは自社の ADR 文化を前提にしています
- PoC 期間中に「自社流に変えたい」項目を記録します · Phase 2 でカスタマイズ性の設計に反映します
- 汎用性スコアリングを Phase 1 出口評価に含め、業界・規模・ガバナンス文化のどの軸に由来するかを分類します
6.4 「差戻し率 43.33% は高くないですか」
自社実測値です。差戻しの主要因は起案本文の記入漏れ (placeholder-remaining / pregate-dangling-premise / cost-missing) の機械検出で、起案者が追記して再投入すれば通過します。pass rate (score 記録あり分) は 85.8% で、大半の起案は最終的に通過に至ります。
6.5 「PoC 後の価格はいくらですか」
Phase 3 で決定します。PoC 中の顧客分 LLM コストの実測値と、自社実績 (月 200 USD 弱) を参考に、従量設計を含めて Phase 3 で正式に定めます。
§7 免責
- 本資料のデモシナリオは架空企業を想定した例示であり、自社および PoC 顧客の実審査データとは別物です。
- 本資料の実測数値は自社の実運用ダッシュボード (D1 telemetry 集計 · 35 日間 · 360 run) から取得したもので、期間・条件を変えれば数値は変動します
- 本資料は PoC 検討段階の資料であり、Phase 2 以降の機能・価格・マルチテナント設計は未確定です
§8 関連
8.1 SSoT / 参照
- ADR-0121 = DRP 製品化 Phase 0+1 (本資料の要求元)
- poc-demo-scenarios.md = デモシナリオ 5 件の詳細
- poc-demo-disclaimer.md = 免責表記 SSoT
- poc-demo-environment.md = デモ環境要件
- poc-cleanup-procedure.md = PoC 撤退時の削除検証手順書
drp/scripts/adr-0121-phase0-dashboard-result-2026-07-01.md= 実測ダッシュボード (Phase 0-1)tasks/proposals/decision-pipeline-productization.md= 創業 proposal (位置づけ原典)
8.2 関連 ADR
- ADR-0121 — DRP 製品化 Phase 0+1
- ADR-0102 — Tiered review depth (triage 設計)
- ADR-0109 — Cross-Validation bounded rounds + HITL エスカレーション
- ADR-0091 — 起案前ゲート (require-quant)
- ADR-0110 — 顧客認証 = マルチテナント Entra ID OIDC 固定制約
- ADR-0182 — HITL エスカレーション設計
8.3 資料の月次更新運用
- 本資料の dashboard 数値 (§2.1) は
drp/scripts/dashboard-metrics.mjsの再実行結果を月次で反映する - 反映運用: 月初に drp session でダッシュボードを再生成し、本 file の §2.1 を更新する PR を切る
- 本 file の path 安定化:
docs/proposals/poc-sales-material.mdの path は顧客営業の引用元として固定する。移動する場合は redirect ページを残す
8.4 外部資料
- Crossing the Chasm (Moore 1991) — セグメント代表性バイアス (Phase 2 ADR の入力)
- GDPR Article 28 (Processor obligations): https://gdpr-info.eu/art-28-gdpr/
- 改正個人情報保護法 委託先監督: https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/kaiseihogohou/
- Anthropic API のデータ取扱ポリシー: https://www.anthropic.com/legal/commercial-terms