価格設計戦略メモ: Rule of Three とブティック向け実効回収モデル
作成日: 2026-04-26 位置付け: MAS-062(PSF プロフィタビリティ指標拡張)の起票根拠資料 + bizlp 自身の価格戦略 SSoT 参照元: MAS-062 仕様書(後続起草予定)/ use_cases.md OP-X8 執筆経緯: 2026-04-25 経営者本人の分析・思考記録
結論
**伝統的な「Rule of Three(時間単価×3 倍)」をそのまま追うのは、数人ブティックでは構造的に困難。3 倍の前提が崩れやすいので、**そのまま目指すより構造を作り替えた方が現実的。
数人規模なら「3 倍の時間単価」を追うより、**「見かけ上 6〜10 倍相当の利益率を出す案件設計」**を目指す方が筋が良いことが多い。
1. Rule of Three(3 倍)の内訳と前提
伝統的な「Rule of Three」は、請求単価を直接人件費の 3 倍に設定すると、1/3 が人件費・1/3 が間接費・1/3 が利益になる、という想定。
この前提は以下が揃って初めて成立:
- 稼働率 70% 前後
- 十分なレバレッジ(パートナー: スタッフ比)
- 安定した受注フロー
2. ブティック(数人規模)で崩れる構造的弱点
2-1. 稼働率の低下
創業者自身が営業・経営・発信・経理まで回すので、課金可能時間は 40〜55% に落ちがち。
稼働率が 50% なら、3 倍の単価でも実質 1.5 倍しか回収できない。
2-2. レバレッジの欠如
大手は若手を高単価で売ることで平均 3 倍を実現している。1〜2 人体制では構造的に難しい。
2-3. 間接費は逆に有利
ここはむしろ有利。オフィス・管理部門が軽いので、間接費比率を抑えやすい。
3. 実際に狙える水準
| 業態 | 実効倍率 |
|---|---|
| コモディティに寄った業務 | 2〜2.5 倍が関の山 |
| 代替困難な専門領域 | 3 倍どころか 4〜5 倍も射程 |
代替困難な専門領域の例: bizlp 創業者の「信頼設計 × 社会心理 × AI」のような組合せ。
価格は原価ではなくクライアントが感じる価値で決まる。
4. 小規模ファームでの現実解
時間単価×3 倍で勝負するより、次のどれかへシフトする方が利益率は上がる:
| シフト先 | 効果 |
|---|---|
| バリューベース課金 | プロジェクト固定・成果連動 |
| リテイナー契約 | 稼働率の変動リスクを潰す |
| IP・フレームワーク・書籍・講演 | 単価の高い案件を引き寄せる |
数人規模なら**「見かけ上 6〜10 倍相当の利益率を出す案件設計」**を目指す方が筋が良い。
5. bizlp の自社運営への適用
| 軸 | 現状(PH-1・SZ-1・BZ-5) | 目指す方向 |
|---|---|---|
| 時間単価倍率 | 推計 2-2.5 倍(コンサル相場下限) | 6-10 倍相当の利益率(バリューベース移行) |
| 稼働率 | 40-55%(創業者ゆえ営業・経営兼務) | 60-70% へ改善 or 価値ベース移行で稼働率の影響を相対化 |
| レバレッジ | 1 名(不可能) | SZ-2 でジュニア採用後に検討 |
| 間接費 | 軽量(強み) | 維持 |
6. MAS-062 仕様化への含意
MAS-062(PSF プロフィタビリティ指標拡張)を起票する際、以下を P/L 拡張の必須出力に:
- 現在の倍率 X.XX(時間単価 ÷ 人件費単価)
- 現在の稼働率 X%(MAS-218 タイムトラッキング連携)
- 実効回収率 = 倍率 × 稼働率(業態別目標との比較)
- バリューベース売上比率(リテイナー + 固定価格 + IP)
- 6-10 倍相当利益率の達成度シグナル(🔵 達成 / 🟡 移行中 / 🔴 時間単価依存)
「3 倍を追うより 6-10 倍相当の案件設計」というメッセージを指標として可視化することで、bizlp 経営者が時間単価モデルから脱却するきっかけを継続提供する。
7. 関連ドキュメント
- MAS-062 TODO エントリ:
docs/_internal/TODO_future.mdの MAS-062 行 - MAS-051 PSF KPI ダッシュボード: 業界ベンチマーク(SPI Research 2025 Billable Utilization 68.9%)参照元
- MAS-043 ハイブリッド 2 トラック採算: バリューベース売上を「VALUE」トラックとして分類管理
- MAS-218 タイムトラッキング: 稼働率算出の分母(
F-ClientWorkタグ) - use_cases.md OP-X8: 月次レビュー時の価格戦略チェック
- use_cases.md PH-3 / SZ-2: 採用本格化期に価格戦略の見直しが必要
8. 変更履歴
| 日時 | 変更内容 |
|---|---|
| 2026-04-26 | 初版作成。経営者本人の分析テキスト(2026-04-25)をそのまま整形し戦略 SSoT 化。MAS-062 起票時に根拠資料として参照。 |