28. 中小企業会計指針 (参照)
出典: 日本税理士会連合会・日本公認会計士協会・日本商工会議所・企業会計基準委員会 「中小企業の会計に関する指針(令和7年(2025年)9月19日改正)」
17. 貸倒損失
(1) 債権が「法的に消滅した場合」とは、会社更生法による更生計画又は民事再生法による再生計画の認可が決定されたことにより債権の一部が切り捨てられることとなった場合等が該当する。
(2) 「回収不能な債権がある場合」とは、債務者の財政状態及び支払能力から見て債権の全額が回収できないことが明らかである場合をいう。
(3) 損益計算書上の表示:
- 営業上の取引に基づいて発生した債権に対するもの → 販売費
- 上記・下記以外のもの → 営業外費用
- 臨時かつ巨額のもの → 特別損失
18. 貸倒引当金
要点
- 金銭債権について、取立不能のおそれがある場合には、取立不能見込額を貸倒引当金として計上しなければならない。
- 貸倒引当金の計上は、差額補充法によることを原則とする。
- 法人税法上の洗替法による繰入額を明らかにした場合には、洗替法による処理として取り扱うことができる。
法定繰入率 (業種別)
| 業種 | 繰入率 |
|---|---|
| 卸売・小売業 | 1.0% |
| 製造業 | 0.8% |
| 金融・保険業 | 0.3% |
| 割賦販売小売業 | 1.3% |
| その他 (サービス業等) | 0.6% |
B/S 表示
- 貸倒引当金は、原則として対象となった項目ごとに控除形式で表示する。
P/L 表示(繰入・戻入)
差額補充法の場合:
- 繰入額 > 取崩額 → 差額を貸倒引当金繰入額として表示 (営業上の債権 → 販売費)
- 取崩額 > 繰入額 → 差額を特別利益に計上
30-32. 経過勘定
30. 経過勘定の定義
| 区分 | 定義 | 例 |
|---|---|---|
| 前払費用 | 継続的役務提供で、いまだ提供されていない役務への支払対価 | 前払利息、前払保険料、前払家賃 |
| 前受収益 | 継続的役務提供で、いまだ提供していない役務への受取対価 | 前受利息、前受家賃 |
| 未払費用 | 継続的役務提供で、既提供の役務に対する未払対価 | 未払利息、未払家賃、未払給料、未払社会保険料 |
| 未収収益 | 継続的役務提供で、既提供の役務に対する未収対価 | 未収利息、未収家賃 |
未払費用は、このような役務提供契約以外の契約等による未払金とは区別しなければならない。
31. 簡便な処理
重要性の乏しいものについては、経過勘定として処理しないことができる。 前払費用のうち支払日から1年以内に役務提供を受けるものは、継続適用を条件に費用処理可。
32. B/S 表示
| 表示項目 | B/S 区分 |
|---|---|
| 前払費用 | 流動資産 |
| 前受収益 | 流動負債 |
| 未払費用 | 流動負債 |
| 未収収益 | 流動資産 |
37. ソフトウェア
- 研究開発に該当するソフトウェアの制作費は研究開発費として費用処理する。
- 研究開発に該当しないソフトウェアの制作費:
- (1) 社内利用: 将来の収益獲得又は費用削減が確実 → 無形固定資産として計上
- (2) 市場販売目的: 製品マスター完成後の制作費 → 無形固定資産として計上
- 無形固定資産として計上したソフトウェアは、見込販売数量に基づく償却方法その他合理的な方法により償却。 法人税法の定める償却方法を採用することもできる。
- 販売・使用見込みがなくなった場合には、未償却残高を費用として一時に償却。
49-52. 引当金
49. 引当金の設定要件
次のすべての要件に該当するものは、引当金として計上しなければならない:
- 将来の特定の費用又は損失であること
- 発生が当期以前の事象に起因していること
- 発生の可能性が高いこと
- 金額を合理的に見積ることができること
52. 賞与引当金の計上額
翌期に従業員に対して支給する賞与の見積額のうち、当期の負担に属する部分の金額は、賞与引当金として計上しなければならない。
59-61. 税金費用・税金債務
59. 法人税、住民税及び事業税
当期の利益に関連する金額を課税標準として課される法人税、住民税及び事業税は、発生基準により当期で負担すべき金額に相当する金額を損益計算書において、「税引前当期純利益(損失)」の次に「法人税、住民税及び事業税」として計上する。
事業年度の末日時点における未納付の税額は、「未払法人税等」として貸借対照表の流動負債に計上する。
61. 消費税等の会計処理
消費税等については、原則として税抜方式を適用し、事業年度の末日における未払消費税等は、未払金に計上する。 ただし、その金額の重要性が高い場合には、未払消費税等として別に表示する。
※免税事業者は税込方式による。
68-72. 株主資本等変動計算書
68. 資本金
資本金は、設立又は株式の発行に際して株主となる者が払込み又は給付した財産の額のうち、資本金として計上した額。
69. 剰余金
- 資本準備金: 増資による株式の払込金額のうち資本金に組み入れなかった額
- 利益準備金: その他利益剰余金から配当する場合、資本準備金の額と合わせて資本金の額の1/4に達していないときは、配当額の1/10を計上しなければならない
- 繰越利益剰余金: 当期首残高に当期純損益や配当額などの当期変動額を加減して当期末残高が示される
72. 株主資本等変動計算書
- 貸借対照表の純資産の部の一会計期間における変動額のうち、株主資本の各項目の変動事由を報告する
- 当期首残高、当期変動額及び当期末残高に区分
- 当期変動額は変動事由ごとにその金額を表示
- 当期純利益は、繰越利益剰余金の変動事由として表示
83-87. 個別注記表
会計監査人非設置・非公開会社で必要な注記:
- 重要な会計方針に係る事項: 収益の計上基準、固定資産の減価償却方法、引当金の計上基準等
- 株主資本等変動計算書に関する注記: 発行済株式数等
- その他の注記
88-90. 決算書フォーマット例示
B/S (貸借対照表)
期末日時点の残高を表示。指針の例示に準拠した科目配列:
- 資産の部 (流動資産 → 固定資産 → 繰延資産)
- 負債の部 (流動負債 → 固定負債)
- 純資産の部 (株主資本 → 評価・換算差額等)
P/L (損益計算書)
年間合計を表示。指針の例示に準拠:
- 売上高 → 売上原価 → 売上総利益 → 販管費 → 営業利益 → 営業外損益 → 経常利益 → 特別損益 → 税引前当期純利益 → 法人税等 → 当期純利益
未払金と未払費用の区別 (まとめ)
| 未払金 | 未払費用 | |
|---|---|---|
| 性質 | 確定債務 (請求書に基づく) | 経過勘定 (継続的役務の未払対価) |
| 例 | 外注費、SaaS利用料、備品代 | 未払給料、未払社保、未払利息、未払家賃 |
| 契約の性質 | 個別の売買契約等 | 継続的な役務提供契約 |
| B/S 区分 | 流動負債 | 流動負債 |