• Status: Proposed
  • Mode: Standard
  • Kruchten Type: Executive/Property
  • Scope: platform
  • Implementation Status: Not Started
  • 起案者: ts_kuma
  • 起案日時 (JST): 2026-06-16 11:05
  • 承認日時 (JST): -
  • Approver Role: platform
  • Approver Who: ts_kuma
  • Driver: ts_kuma
  • Consulted: Decision Pipeline AI 審査 (Gate 0-4)

コンテキスト

§1.1 背景

重要な意思決定を ADR として記録する方針(ADR-0000)と、どの決定を ADR 化するかの Triage 基準(ADR-0020)は既に確立済み。しかし「記録という行為そのものに、起案・レビューの人間時間、パイプラインの API/トークンコスト、定例での棚卸し時間、記録を楽にする自動化への投資、というリソースがかかる」点は、これまで意思決定として明文化されていない。

§1.2 現状 (As-Is)

ADR-0000/0020 により記録方針と Triage 基準は確立されているが、記録行為に必要なリソース(時間・コスト枠・運用枠・自動化投資)の確保は明示的な意思決定として残されていない。本プロジェクトは個人開発・監査要件あり・Human-in-the-Loop 設計である。

§1.3 課題

コストを惜しんで記録を後回しにすると「なぜその決定をしたか」が失われ、後から探す・迷うコスト(認知負荷)が増える。記録するに値する意思決定が、必要なリソースの未確保を理由に記録されないまま流れてしまうリスクが存在する。

§1.4 制約・要件

  • ADR-0000/0020 を前提とし、Refines 関係で重複を避ける
  • 監査要件があるため、記録行為のリソース消費に対する証跡・分離が必要
  • Human-in-the-Loop 設計のため、起案者本人の稼働時間を圧迫しない仕組みが必要
  • 各リソースの具体的水準(金額・時間上限)は本 ADR では確定させず、別途『リソース基準 ADR』に委ねる(ADR-0130 パターン)
  • ADR-0020 の Triage 基準を骨抜きにしない

§1.5 目標 (To-Be)

記録に値する意思決定の記録を支える 4 種のリソース(人間時間・API コスト枠・定例運用枠・自動化投資)を固定投資として位置づけ、リソース未確保を理由とした記録見送りを構造的に防ぐ。Non-Goals: 各リソースの具体的水準確定、記録した決定の実行リソース、Triage 基準の改訂。

決定

ADR-0000/0020 を Refines し、「記録するに値する意思決定は記録する」を改めて確認したうえで、その実現に必要な以下 4 種のリソースを「コストだから削る」対象ではなく「組織知の維持に必要な固定投資」として明示的に確保する: (1) 起案・レビューの人間時間、(2) パイプラインの API/トークンコスト枠、(3) 週次レビュー等の定例運用枠、(4) 記録を楽にする自動化への投資。意思決定の記録を当社の基幹業務と位置づけ、ADR-0020 の Triage を通過した意思決定に限り、他業務とリソースが競合する場合は記録を優先する(Triage 通過前の候補は本優先ルールの対象外)。各リソースの具体的な基準・水準は本 ADR では確定させず、実消費データの分析に基づき別途独立した『リソース基準 ADR』として起票し、そこで確定する(ADR-0130 パターン: 起票義務)。API コスト・人間時間には用途ラベル(例: purpose=adr-recording)を付与し、記録行為コストと意思決定実行コストを監査時に分離可能にする。

判断基準 (Decision Drivers)

3.1 評価軸

#重要度 (係数)案件特有の解釈
1#maintainable[Must] (×2.0)組織知(過去の意思決定根拠)が時間経過で失われず保守可能であること
2#operable[Must] (×2.0)個人開発・Human-in-the-Loop で実際に運用継続できる負荷であること
3#suitable[High] (×1.0)ADR-0000/0020 の既存方針と整合し、Triage 基準を骨抜きにしないこと
4#efficient[High] (×1.0)API コスト・人間時間が予算枠内で収まること
5#secure[Medium] (×0.5)監査時にリソース消費の用途分離が可能で、証跡が残ること

K.O. criterion: Must 軸(#maintainable, #operable)の score < 3 は不採用。

3.2 評価軸 × 案スコア表

係数案 C (採択)案 A (現状維持)案 B (独立新規)案 D (都度判断)
#maintainable×2.04242
#operable×2.04333
#suitable×1.05322
#efficient×1.04433
#secure×0.54232
加重和 (正規化)0.8360.5640.6180.491
K.O. 通過 (Must ≥3)❌ (#maintainable=2)❌ (#maintainable=2)

検討した代替案 (Alternatives Considered)

  • 案 A (現状維持): ADR-0000/0020 で足りるとみなし何もしない — リソース未確保のままで「忙しい・高コスト」を理由とした記録見送りリスクが残り、#maintainable で K.O. 不通過。
  • 案 B (独立新規 ADR): 記録方針とリソース確保をまとめて独立宣言 — ADR-0000/0020 と重複し冗長。#suitable が低い。
  • 案 C (採用・Refines): ADR-0000/0020 を Refines し、新規性であるリソース確保軸のみを追加 — 重複を避けつつ決定の的が絞れる。
  • 案 D (都度判断): リソースを方針化せず案件ごとに判断 — 判断コストとブレが残り、認知負荷最小化に反する。#maintainable で K.O. 不通過。

影響 (Consequences)

§5.1 正の影響 (Good)

  • ADR-0000・ADR-0020 に Refines 関係が追加され、記録活動の正当化根拠が明文化される
  • 週次レビュー枠に「記録漏れの棚卸し」が定例タスクとして加わり、記録漏れ検知が制度化される
  • 記録自動化(ADR-0144 実装フォローアップ検知・ADR-0145 coverage gaps など)への投資が本方針により正当化される
  • API コスト・人間時間に用途ラベルを付与することで、監査時の証跡分離が可能になる

§5.2 負の影響 (Bad)

  • パイプラインの API/トークンコストに月次の予算枠管理が必要になり、運用負荷が増える
  • 「記録を優先する」宣言が過剰解釈されると ADR-0020 の Triage 基準が空洞化し、記録が氾濫してノイズ化するリスク(盲点 #3)
  • 確保したリソース枠が形骸化する(枠は宣言したが実際には使われない・守られない)リスク
  • リリース前後で意思決定が集中する週には記録作業が開発時間を圧迫し、意思決定そのものの発生を抑制する逆効果リスク(盲点 #5)

§5.3 中立・トレードオフ (Neutral / Trade-offs)

  • 「記録に値する」の認定主体を起案者本人のみに委ねると分母が事後操作可能になるため、ADR-0144 の自動検知ログや週次レビューを起案者と独立した分母確定トリガーとして併用する(盲点 #1 対応・§7 で明記)
  • 記録量を増やす自動化投資が意思決定品質に寄与しているかを検証するため、参照率を補助指標として §7 に追加(盲点 #7 対応)
  • 各リソースの具体的水準確定を『リソース基準 ADR』に委ねるため、本 ADR 単独では実効性が限定的(撤退条件 (c) で起票期限を担保)

撤退条件 (Rollback Plan)

受理後 3 ヶ月(1 四半期)運用したうえで、次のいずれかに該当する場合は本 ADR を撤回し都度判断に戻す:

  • (a) リソース確保により新たに記録された意思決定が四半期で 0 件
  • (b) リソース確保のための運用負荷が月 2 時間を超えて増え、かつ記録の量・質に改善が見られない場合(具体例: リリース前後のスプリントで記録義務が週 5 件以上に集中し、開発時間を圧迫して意思決定発生数自体が前四半期比で減少した場合を含む — 盲点 #5)
  • (c) 『リソース基準 ADR』が受理後 30 日以内に起票されず、初回月次レビュー(受理後 30 日時点)での督促後も受理後 60 日までに起票されない場合

暫定ハードリミットと撤回実行手順(盲点 #2 対応):

  • 『リソース基準 ADR』起票完了まで、月次 API コスト上限を 20 ドル/月 のハードリミットとして CI/CD 環境変数 ADR_PIPELINE_MONTHLY_BUDGET_USD=20 に設定し、超過時はパイプライン実行を自動停止する
  • 撤回実行手順: 起案者 ts_kuma が、受理後 60 日時点の月次レビューを起点に、(1) GitHub Issue「ADR-0153? Rollback」を起票、(2) 本 ADR の Status を Superseded に変更、(3) ADR-0000/0020 の Refines リンクを除去、の 3 ステップを実行する

コスト試算

以下は方針判断のための暫定の目安であり、確保するリソースの正式な基準・水準は『リソース基準 ADR』で確定する。

項目単位コスト月間想定
起案テキスト作成約 15 分/件月 3〜5 件
レビュー約 10 分/件月 3〜5 件
人間時間合計約 25 分/件約 1.5〜2 時間/月
DRP 1 run API コスト約 1 ドル/起案約 3〜10 ドル/月
週次レビュー棚卸し枠15 分/週約 1 時間/月
自動化投資(候補検知・テンプレ整備)初期 約 8 時間保守 約 1 時間/月

暫定ハードリミット: API コスト 20 ドル/月(撤退条件 §5 参照)。

Confirmation

要素内容
検証手段(1) 記録率: ADR-0144 自動検知ログで抽出した「記録に値する候補」を分母とし、ADR 化された件数を分子とする(起案者本人による事後再分類を禁止し、分母確定は週次レビュー時に GitHub Issue ログを証跡として実施)。(2) リソース不足を理由とした記録見送り件数: 週次レビュー時に GitHub Issue ラベル adr-skipped-resource の付与件数で計測。(3) 週次レビュー棚卸し実施率: GitHub Actions で毎週月曜に棚卸しチェックリスト Issue を自動生成し、未クローズなら翌週 escalate。(4) 『リソース基準 ADR』起票: 受理後 30 日時点の初回月次レビューで起票状況を確認。(5) 補助指標: 月次で参照された ADR 件数および ADR 参照により意思決定が変更された件数を記録(盲点 #7)
実行頻度週次(棚卸し・記録見送り計測)、月次(記録率・参照率集計)、3 ヶ月時点(撤退判断)
違反時対応受理後 3 ヶ月時点で記録率 90% 未満 / 記録見送り月 1 件以上発生 / 棚卸し実施率 80% 未満 / 『リソース基準 ADR』未起票のいずれかに該当する場合、§5 撤退条件に従い本 ADR を撤回し都度判断に戻す

達成水準: 記録率 90% 以上、リソース不足を理由とした記録見送り月 0 件、週次レビュー棚卸し実施率 80% 以上、『リソース基準 ADR』受理後 30 日以内に起票。

参照 (References)

  • 関連 ADR:
    • Refines: ADR-0000(ADR として記録する方針)、ADR-0020(記録対象の Triage 基準)
    • 関連: ADR-0049(Scope 4 分類)、ADR-0107(経営者向けサマリー)、ADR-0144(実装フォローアップ検知)、ADR-0145(coverage gaps)、weekly_review 枠
    • 行き先解決: ADR-0142(前提の行き先解決を求めるプリゲート)、ADR-0130(行き先許容形 (ii) のパターン参照元)
  • 関連 PR/Issue: -
  • 外部資料: -