00. ノード横断 — 判定ルール俯瞰
提案を出してから決定の記録が PR になるまでに通る 23 の関所を 1 枚で見渡す表。
どのノードが提案を止めるのか、何を見て判断するのか、止まらず助言だけ返すのはどこか、を社内の用語を使わずに並べた。
- 1 つのノードの詳しい仕組み → 01_triage.md 以降の各ページ
- 関所ごとの要件定義 → system_requirements.md
- 散文での全体像 → decision_pipeline/README.md §3
1. このページで見えること・見えないこと
| 見えること | 見えないこと |
|---|---|
| 23 のノードがそれぞれ何を見て判断しているか | 内部の擬似コード・実装詳細 |
| 止めるノードと助言だけのノードの違い | プロンプト本文・LLM パラメータ |
| 通過の条件・差し戻しの条件 | エラー時の振る舞いの詳しい仕様 |
2. Step 別の流れ
パイプラインは 4 つの Step に分かれる。各 Step の見出しと、通過した時点で起案文章について言えることだけを並べる。各ノードの詳しい内訳は §3 の表へ。
Step 1. 受け付ける前のさばき — 門前払いチェック
重い処理を回す前に「記録する価値があるか」「別の決めごとが混ざってないか」「コスト試算は書かれているか」を弾く。
通過時点で言えること: 記録に残す価値があり、重みが軽い/普通/重大で決まり、別の決めごとが混ざっておらず、普通以上ならコスト試算が書かれている。
Step 2. 起案の中身を作る — AI との共同執筆
盲点を 3 視点で洗い出し、テンプレに沿った下書きを生成する。ここでは差し戻しは起きない。
通過時点で言えること: PR に付ける盲点指摘が揃い、テンプレに沿った本文の下書きが完成している。
Step 3. 中身を審査する — 最大の難所
品質を採点し、盲点・過去との矛盾・自社方針を厳しく見る。止まる可能性のあるノードが一番多い。
通過時点で言えること: 重みごとの閾値以上の品質、盲点と過去のどちらにも矛盾しない、3 社 AI の指摘が PR に付記され、戻せる決定かが記録されている。
Step 4. 採番して PR 化 — 事務処理
タイトル英訳・採番・GitHub PR 起票の機械的な仕上げ。差し戻しは起きない。
通過時点で言えること: ファイル名と ADR 番号が決まり、「提案中」状態の PR が起票され、最終承認は代表だけが押せる状態になっている。
3. メイン 14 ノード(Step 1〜4)
| # | ノード | Step | 種別 | 何を見るか | 通過するとき | 差し戻し・助言するとき | 閾値 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 01 | Triage | 1 | 止める | 記録に残す価値があるか/審査の重みはどれか | 価値があり、必要な項目が揃っている | 価値がない、または重い案件なのにコスト試算や必須項目が欠けている | 重みは 3 段階:軽い/普通/重大 |
| 12 | Problem Space Pregate | 1 | 止める | 1 つの提案に別の決めごとが混ざっていないか/「あとで考える」と置いた話の行き先があるか | 1 件にまとまっており、行き先のない話がない | 別の決めごとが混ざっている/行き先が決まっていない仮置きの話がある | — |
| 13 | ABC Screen | 1 | 助言のみ | 解く意味の高さ:戻せない損失か、慢性的な不利益か、軽微か | 常に通る | 戻せない損失と判定したら審査を「重大」に格上げ/軽微なら人が最後に確認 | A/B/C の 3 区分 |
| 14 | Cost Gate | 1 | 止める | コストの見積もりが書かれているか | 軽い案件は免除/見積もりあり/戻せない損失と分かっていれば素通し | 普通以上の重みでコストの見積もりが書かれていない | — |
| 15 | Recall Pre-Gate | 1 | 助言のみ | 過去の似た決定を最大 5 件挙げる | 常に通る | 関連する過去の決定を引用つきで後の段階に渡す | 最大 5 件 |
| 02 | Socratic | 2 | 助言のみ | 起案者が見落としている論点 | 常に通る | 反論役・失敗予測役・統合役の 3 視点で盲点を抽出して PR に付記 | 最大 10 件(軽い時は 5 件) |
| 03 | Body Generation | 2 | 状態変更のみ | テンプレに沿って本文を整える | 常に通る | 差し戻しなし | — |
| 04 | Scoring | 3 | 止める | 10 項目で品質を採点(問題定義/代替案/判断基準/過去整合/影響範囲/運用の罠/ロールバック/コスト/完了条件/長期影響) | 採点が閾値以上 | 閾値未満なら「何を足せばいいか」を 150 字以内で示して差し戻し | 50 点満点。閾値は軽い 35/普通 40/重大 45 |
| 05 | Cross-Validation | 3 | 止める | 見つかった盲点が採点の前提を崩していないか | 崩していない | 重大な盲点が「必ず守るべき軸」を崩していると判定したら差し戻し | 同じ盲点で 3 回堂々巡りなら自動却下を止めて人の判断に委ねる |
| 06 | Consistency | 3 | 止める | 過去の決定との矛盾 | 矛盾なし/既存決定を更新する宣言がある | 矛盾あり、かつ上書きする宣言もない | — |
| 07 | Parallel Review | 3 | 助言のみ | 3 社 AI が別の目で見る(ビジネス/論理/技術) | 常に通る | 3 視点の指摘を PR に追記 | 1 社が失敗しても残りで続行 |
| 16 | Decision Type Classify | 3 | 分類記録のみ | 戻せる決定か、戻せない決定か | 常に通る | 戻せない決定はマージ前に少し時間を置く | 8 つのキーワードで判定 |
| 08 | Policy Alignment | 3 | 助言のみ(条件付きで止める) | 自社方針 6 項目との適合(整合性/監査/1 人法人コスト/既存メモリ/新人受け入れ/戻しやすさ) | 適合 | 重大違反のフラグが立った時のみ差し戻し(機能 ON 時に限る) | 6 項目で評価 |
| 09→10→11 | Slug → Numbering → Webhook | 4 | 状態変更のみ | 日本語のタイトルを英語の短縮名に変換 → 番号を採番 → GitHub に PR を作成 | 常に通る | 差し戻しなし。PR の状態は「提案中」固定で、最終承認は代表だけ | — |
4. 補助 9 ノード(Gate 1 サブ・補助モジュール)
| # | ノード | 分類 | 種別 | 役割 | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|---|
| 21 | Gate 1 DA(反対役) | Gate 1 サブ | 助言のみ | 反対の立場から提案の弱点を 3〜5 件挙げる | 22 の攻撃観点から 3 観点を選ぶ。同じ提案には毎回同じ 3 観点 |
| 22 | Gate 1 Judge(統合役) | Gate 1 サブ | 助言のみ | 反対役と失敗予測役の指摘を統合し重複を排除 | 最終的に最大 10 件(軽い時は 5 件) |
| 23 | Gate 1 PM(失敗予測役) | Gate 1 サブ | 助言のみ | 6 ヶ月後の失敗シナリオを 4 カテゴリで挙げる | 技術・運用・規制・認知の各 1 件以上 |
| 17 | Crossval Loop-Breaker | 補助モジュール | 分類・決定 | 整合検証が堂々巡りになったら自動却下を止めて人の判断にエスカレート | 既定で 3 回まで自動却下、それを超えたら「残余リスクつき受理」として PR を起票 |
| 18 | Perspective Selector | 補助モジュール | 分類記録のみ | 22 観点から 3 観点を選ぶ仕組み | 同じ起案を出し直しても毎回同じ 3 観点を返す(再現性確保) |
| 19 | Edge Block | 補助モジュール | 状態変更のみ | ADR の見出し情報に必要な雛形を補う | 関連 ADR など 7 つの項目を空欄の雛形で前置きする |
| 20 | Pipeline Reinforcement | 補助モジュール | 分類・記録 | 起案文の外で AI が足した補強策を一覧にする | PR で人が 1 件ずつ確認する |
Recall Pre-Gate(15)と Decision Type Classify(16)はメインフローの独立ノードのためメイン表に載せた。本表は graph 上は独立ノードでない補助モジュール(17〜20)と socratic 統合ノード内のサブ(21〜23)のみ。
5. 表の読み方
Step の対応
- 1 = 受け付ける前のさばき。軽い差し戻しはここで完結し、重い処理を回さない
- 2 = 起案の中身を作る。盲点指摘 → 本文の下書き生成
- 3 = 中身を審査する。採点 → 盲点との整合 → 過去との矛盾 → 多角レビュー → 分類 → 方針適合
- 4 = 採番して PR にする
種別の意味
- 止める = 差し戻し。起案者にメッセージを返してパイプラインを終わらせる
- 助言のみ = 指摘を PR に付記するだけで、次の段階には進む
- 状態変更のみ = 内部の情報を書き換えるだけ。差し戻し権限はない
- 分類記録のみ = 後の段階の参考に使う。差し戻し権限はない
6. 止めるゲート一覧(差し戻しが起きる場所)
提案を出した人が一番気にする場所。止める可能性のあるノードは 6 つ+方針違反フラグの 1 つ。
| Step | ノード | 何で止まるか |
|---|---|---|
| 1 | Triage | 記録に残す価値がない/普通以上の重みなのにコスト試算や必須項目がない |
| 1 | Problem Space Pregate | 別の決めごとが混ざっている/行き先のない仮置きがある |
| 1 | Cost Gate | 普通以上の重みでコスト試算が書かれていない(戻せない損失と分かっている時は素通し) |
| 3 | Scoring | 50 点満点で閾値未満(軽い 35/普通 40/重大 45) |
| 3 | Cross-Validation | 重大な盲点が「必ず守るべき軸」を崩している |
| 3 | Consistency | 過去の決定と矛盾しているのに上書き宣言がない |
| 3 | Policy Alignment | 自社方針への重大違反フラグが立った(機能 ON 時に限る) |
Cross-Validation は同じ盲点で堂々巡りになったら自動却下を止めて「残余リスクつき受理」に切り替える。詳しい仕組みは 17_crossval_loopbreaker.md を参照。
7. 関連ドキュメント
- 個別ノードの詳しい仕様: 01_triage.md 〜 23_gate1_pm.md
- 関所ごとの要件定義: system_requirements.md
- パイプライン全体の散文解説: decision_pipeline/README.md
- ざっくり版(非エンジニア向け): decision_pipeline/README_easy.md
- プロンプト本文の保管先: decision_pipeline/prompts/
変更履歴
| 日時 | 変更 |
|---|---|
| 2026-06-29 | 初版 — 23 ノードの判定情報を 1 枚俯瞰として整理(メイン 14 + 補助 9) |
| 2026-06-29 | 文言を平易化。社内のコード識別子・英略語・カッコ補足を排除し、関連 ADR 列を削除 |
| 2026-06-29 | §2 Step 別の流れを追加。Scoring と Cross-Validation の Step 区分を 2 → 3 に修正(README §3 と整合化) |
| 2026-06-29 | §2 を圧縮。各 Step の見出しに「門前払い/共同執筆/最大の難所/事務処理」のキーワードを追加し、「通過時点で言えること」を 1 文に圧縮 |