対象読者: CFO / 税理士 / FP&Aアナリスト 目的: 本システムが採用している会計処理ルールを、技術用語を排除して平易な日本語で記述する。各セクションのロジックが正しいかどうかを、経理・財務の専門家が検証可能な形式とする。


1. 基本原則

1.1 発生主義と実現主義の使い分け

本システムは発生主義を基本とする。費用・収益は、現金の受払いにかかわらず、経済的事実が発生した時点で計上する。

原則適用範囲具体例
発生主義費用の計上11月に提供されたSaaSサービスは、支払いが12月でも11月のP/Lに計上
実現主義収益の計上受託開発の売上は、納品・検収が完了した時点で計上
現金主義キャッシュフローのみC/F計算書は実際の入出金日に基づいて集計

1.2 Single Source of Truth (SSOT)

全ての財務諸表(P/L・B/S・C/F・PJ別損益)は、**請求・債権債務台帳(以下「請求台帳」)**を唯一の集計起点とする。仕訳台帳は監査証跡としてのみ機能し、集計ソースとしては使用しない ¹⁾。

¹⁾ 設計判断の詳細: ADR-0001 — SSOTとしてのINV

1.3 中小企業会計指針への準拠

本システムは「中小企業の会計に関する指針(令和7年改正)」に準拠する。特に以下の項目が実装に直結する。

指針内容本システムでの適用
第17-18項貸倒損失・貸倒引当金売掛金残高 × 0.6%(サービス業法定繰入率)で引当金を計上
第30-32項経過勘定(前払費用・未払費用等)期ずれ処理で自動生成(→ 4. 期ずれルール
第37項ソフトウェアの資産計上設備投資RPAで減価償却を自動計算
第49-52項引当金貸倒引当金の差額補充法による積み増し/取り崩し
第59-61項法人税・消費税累進課税ブラケットで法人税を自動計算(→ 3.9

関連技術仕様: ref_sme_accounting_guidelines.md


2. 勘定科目体系

2.1 損益計算書 (P/L) 科目

収益科目

表示区分科目名固変区分消費税備考
フロー売上高商品売上高10%単発の売上
コンサルティング売上高10%
講師・研修売上高10%
受託開発売上高10%
ストック売上高ライセンス・SaaS売上高10%継続的な売上
保守・サポート売上高10%
その他売上高その他売上高10%
財務収益受取利息非課税営業外収益
受取配当金非課税
その他営業外収益雑収入10%益税等を含む
固定資産処分益固定資産売却益10%特別利益

売上原価科目

表示区分科目名固変区分消費税
商品仕入高期首棚卸高変動費非課税
当期商品仕入高変動費10%
他社ライセンス仕入高変動費10%
労務費直接労務費固定費非課税
外注費開発外注費変動費10%
コンサル外注費変動費10%
経費サーバー・クラウド利用料変動費10%
ソフトウェア償却費固定費非課税
API・外部サービス利用料変動費10%
原価_旅費交通費変動費10%

販売費及び一般管理費

表示区分科目名固変区分消費税備考
一般管理費役員報酬固定費非課税
給料手当固定費非課税
賞与固定費非課税
法定福利費固定費非課税会社負担の社会保険料
福利厚生費固定費非課税
地代家賃固定費非課税
減価償却費固定費非課税
租税公課固定費非課税固定資産税等
通信費固定費10%
水道光熱費固定費10%
業務委託費固定費10%
支払手数料変動費10%振込手数料等
旅費交通費変動費10%
その他20科目消耗品費・接待交際費・図書教育費等
販売費広告宣伝費変動費10%
販売手数料変動費10%
代理店報酬変動費10%

営業外費用・特別損失

表示区分科目名消費税
財務費用支払利息非課税
その他営業外費用雑損失非課税
固定資産処分損固定資産売却除却損非課税
その他特別損失損害賠償金非課税
法人税等法人税、住民税及び事業税非課税

2.2 貸借対照表 (B/S) 科目

区分表示区分主な科目
流動資産流動資産現金、小口現金、普通預金
売上債権売掛金
有価証券有価証券
棚卸資産商品、貯蔵品
その他流動資産前渡金、短期貸付金、立替金、未収入金、仮払金、前払費用、仮払消費税等
固定資産有形固定資産建物、車両運搬具、工具・器具、土地、リース資産
無形固定資産のれん、ソフトウェア
投資その他の資産投資有価証券、長期貸付金、保証金敷金、保険積立金、預託金
繰延資産繰延資産創立費、開発費(資産)
流動負債仕入債務買掛金
短期借入金短期借入金
未払金等未払金、未払費用
その他流動負債前受金、仮受金、預り金
未払税金未払法人税等、未払消費税等
固定負債長期借入金長期借入金
その他固定負債預り保証金、長期未払金
純資産純資産資本金、繰越利益剰余金

関連技術仕様: mst_account.md


3. 仕訳パターン一覧

3.1 給与・報酬の支払い

従業員1名・1ヶ月あたり最大12行の仕訳が発生する。

基本給与の計上

#借方貸方タイミング条件
1給料手当(または役員報酬)未払金給与対象月の末日全従業員
2預り金(源泉所得税)同上 ²⁾源泉税 > 0 の場合
3預り金(住民税)同上 ²⁾住民税 > 0 の場合
4預り金(社会保険料・従業員負担)同上 ²⁾正社員・役員のみ
5法定福利費(社会保険料・会社負担)未払金同上正社員・役員のみ

²⁾ 項目2〜4は給与からの「天引き」を表す。現金の移動はなく、帳簿上の振替仕訳として処理される。

天引き額の納付

#借方貸方タイミング条件
6預り金(源泉所得税)現金・預金納期の特例: 7/10 または 1/10 ³⁾源泉税 > 0
7預り金(住民税)現金・預金同上住民税 > 0
8預り金(社会保険料)現金・預金翌月末正社員・役員のみ

³⁾ 従業員10名未満の場合に適用される「納期の特例」。1月〜6月分を7月10日に、7月〜12月分を翌年1月10日に一括納付する。

差引支給額の計算

差引支給額 = 月額給与(税込) − 源泉所得税 − 住民税 − 社会保険料(従業員負担)

差引支給額が従業員の銀行口座に振り込まれる金額となる。

消費税の取扱い(免税事業者の場合)

#借方貸方タイミング条件
9雑収入(益税)給与対象月の末日免税事業者 かつ 消費税額 > 0

免税事業者が受け取った消費税相当額は、益税として雑収入に計上する。

消費税の取扱い(課税事業者の場合)

#借方貸方タイミング条件
10仮払消費税等給与対象月の末日課税事業者 かつ 消費税額 > 0

雇用形態による適用範囲

雇用形態基本給与源泉税住民税社保法定福利費使用科目
役員役員報酬
正社員給料手当
業務委託開発外注費
顧問業務委託費
アルバイト雑給

関連技術仕様: spec_rpa_hc.mdspec_stl_auto.md


3.2 SaaS・サブスクリプション費用

#借方貸方タイミング条件
1該当費用科目(通信費・支払手数料等)未払金サービス提供月の末日後払い
2前払費用未払金支払月の末日前払い(年払い等)
3前払費用 → 該当費用科目サービス提供月前払費用の取り崩し

関連技術仕様: spec_rpa_saas.md


3.3 設備投資・借入

1資産あたり最大6種類の仕訳が発生する。

取得時(初回のみ)

#借方貸方タイミング条件
1固定資産(車両運搬具等)取得月全資産
2長期借入金取得月借入がある場合
3未払金(頭金)取得月頭金 = 取得価額 − 借入額 ≠ 0 の場合

毎月発生

#借方貸方タイミング条件
4減価償却費固定資産(間接控除)取得翌月〜耐用年数満了月全資産
5長期借入金現金・預金返済開始月〜返済完了月借入がある場合
6支払利息現金・預金同上利息がある場合

減価償却の計算

月額減価償却費 = 取得価額 ÷ 償却月数(小数点以下四捨五入)
最終月の減価償却費 = 取得価額 − 初月〜前月までの累計額

最終月で端数調整を行い、累計減価償却費が取得価額と正確に一致するようにする。

関連技術仕様: spec_rpa_capex.md


3.4 パイプライン売上

#借方貸方タイミング条件
1売掛金売上高納品・検収月スポット売上(単発)
2売掛金売上高契約期間の各月MRR(月額継続売上)× 契約月数

計画P/Lにおける確度加重: 未受注案件は「確度 × 金額」で加重した仮想的な売上として計画P/Lに反映する(例: 確度50%の案件は金額の半分で計上)。

関連技術仕様: spec_rpa_pipeline.mdspec_pipeline_plan.md


3.5 資金移動・財務取引

借入金の入金や資本金の振込など、B/S科目間の移動を表す。1取引あたり2行の仕訳が発生する。

#借方貸方タイミング
1本体のB/S科目取引発生日普通預金(借入金入金)、資本金(増資)
2対応するB/S科目同上長期借入金(借入対応)、未収入金(入金待ち)

2行目は「キャッシュプラグの中立化」のために自動生成される ⁴⁾。

⁴⁾ B/Sの現預金残高は他の全科目から逆算で求めるため、資金移動の両面を記録しないとB/Sが崩れる。

関連技術仕様: spec_rpa_finance.md


3.6 単発経費

#借方貸方タイミング条件
1該当費用科目(旅費交通費等)未払金費用発生日全単発経費

決済手段(銀行振込/クレカ/立替等)に応じて申請種別が自動判定される。

関連技術仕様: spec_rpa_adhoc.md


3.7 費用計上・仕訳転記(承認時)

請求データが「承認済」になると、以下の処理が自動実行される ⁵⁾。

#借方貸方タイミング条件
1費用科目(請求データの科目)対応する負債科目請求データの承認時承認済の請求データ
2同時現金が動く取引のみ → 決済予定を自動作成

「現金が動かない」振替仕訳(天引き項目等)については、決済予定は作成されない。

⁵⁾ 本システムでは「Action A」と呼ぶ。

関連技術仕様: spec_engine.md


3.8 決済消込(入出金確認時)

決済予定が「消込済」になると、以下の処理が自動実行される ⁶⁾。

#処理内容
1決済仕訳の生成借方: 現金・預金 / 貸方: 請求データの科目
2手数料の計上振込手数料等がある場合、別行で費用計上
3未決済残高の更新未決済残高 = 請求総額 − 全決済額の合計(逆算方式)
4ステータスの更新残高 = 0 → 「決済完了」、残高 > 0 → 「一部決済」

バリデーションルール:

条件処理
決済日が未来日スキップ(未到来の決済は処理しない)
決済日 < 請求発生日 かつ 通常の経費スキップ+警告(入力誤りの可能性)
決済日 < 請求発生日 かつ 前払い経費処理続行(年払いSaaS等の前払いは正当)

⁶⁾ 本システムでは「Action B」と呼ぶ。

関連技術仕様: spec_engine.md


3.9 法人税の自動計算

P/Lの税引前当期純利益に基づき、法人税等を累進課税ブラケットで自動計算する。

税率テーブル

課税所得区分国税(法人税)地方税(法人住民税+事業税)合計実効税率
800万円以下15%約7%約22%
800万円超23.2%約10%約33%

計算式

800万円以下の部分の税額 = MIN(課税所得, 800万) × 低税率
800万円超の部分の税額 = MAX(課税所得 − 800万, 0) × 高税率
法人税等合計 = 800万円以下の税額 + 800万円超の税額

計算結果はP/Lの末尾に「法人税、住民税及び事業税」として自動計上され、B/Sには「未払法人税等」として流動負債に計上される。

関連技術仕様: spec_corporate_tax.md


4. 期ずれルール

「期ずれ」とは、費用・収益の発生月(P/L計上月)と、実際の入出金月(キャッシュ移動月)がずれることを指す。中小企業会計指針 第30-32項に基づき、以下の経過勘定を自動生成して期間帰属を正しく処理する。

4.1 期ずれパターン一覧

#パターン発生条件使用する経過勘定B/S区分解消タイミング
1後払い(通常の経費)発生月 < 決済月未払金流動負債決済月に入出金が確認された時点
2後払い(継続的役務)発生月 < 決済月 かつ 給与・報酬・地代家賃・支払利息等未払費用 ⁷⁾流動負債同上
3前払い発生月 > 決済月前払費用流動資産役務提供月に取り崩し
4前受け(収入の場合)入金月 < 収益認識月前受金流動負債収益認識月に取り崩し
5売掛(収入の後受け)収益認識月 < 入金月売掛金流動資産入金月に消込

⁷⁾ 「未払費用」と「未払金」は会計上明確に区別される。未払費用は継続的な役務提供契約に基づく経過勘定であり、未払金は個別の購買取引に基づく債務である。

4.2 未払費用の対象科目

以下の科目は、後払い時に「未払金」ではなく「未払費用」として計上される。

  • 役員報酬、給料手当、賞与、雑給
  • 法定福利費
  • 支払利息
  • 地代家賃、賃借料

4.3 期ずれの解消

期ずれで自動生成された経過勘定は、入出金台帳の消込処理(Action B)が完了した時点で自動的に解消される。解消時には、請求データの帳簿額(計画時の金額)を基準とする。実際の決済額との差額(振込手数料等)は別科目で処理する。

4.4 二重計上の防止

期ずれ解消(未払金の減算)は、発生月と決済月が異なる場合にのみ実行される。発生月と決済月が同じ場合は期ずれが存在しないため、解消処理をスキップする。これにより、同一金額が二重に減算されることを防止する。

関連技術仕様: spec_datamart_ingest.mdspec_bs.md


5. 消費税の取扱い

5.1 基本方針

本システムは税抜方式を採用する(中小企業会計指針 第61項)。消費税は損益項目から分離し、B/S上の仮払消費税等(資産)または仮受消費税等(負債)として管理する。

5.2 税率の適用

科目の消費税設定処理
10%税抜金額 × 10% を消費税額として分離
8%(軽減税率)税抜金額 × 8% を分離
非課税消費税額 = 0(保険料、利息、地代家賃等)
不課税(対象外)消費税額 = 0(給与、租税公課、減価償却費等)

5.3 免税事業者と課税事業者

事業者区分消費税の取扱い仕訳への影響
免税事業者受け取った消費税相当額は「益税」として雑収入に計上給与RPA等で免税フラグがONの場合、仮払消費税等の代わりに雑収入を計上
課税事業者仮払消費税等としてB/Sに計上し、決算時に仮受消費税等と相殺標準的な税抜処理

5.4 現在の制約

  • 消費税の申告計算(課税売上割合、仕入税額控除の精密計算)は本システムのスコープ外。確定申告は税理士が別途実施する
  • インボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応は部分的。登録番号の記録は可能だが、適格請求書の形式チェックは未実装

関連技術仕様: spec_rpa_hc.md(免税/課税の分岐)


6. 預り金・源泉税の取扱い

6.1 計上と取崩しのペアリング

預り金(源泉所得税・住民税・社会保険料)は、計上仕訳と取崩し仕訳が必ずペアで発生する。

ペア計上(B/S負債の増加)取崩し(B/S負債の減少+現金支出)
源泉所得税給与計上月に預り金を計上7月10日 または 1月10日に一括納付
住民税給与計上月に預り金を計上同上
社会保険料給与計上月に預り金を計上翌月末に年金事務所等へ納付

6.2 納期の特例(源泉所得税・住民税)

従業員10名未満の事業者は「納期の特例」を適用し、半年分の源泉所得税・住民税をまとめて納付できる。

対象期間納付期限納付額の計算
1月〜6月分7月10日対象6ヶ月の預り金合計
7月〜12月分翌年1月10日 ⁸⁾対象6ヶ月の預り金合計

⁸⁾ 本システムの会計年度は8月〜翌7月のため、1月10日納付は同一年度内に収まる。

6.3 差引支給額への影響

給与の銀行振込額(差引支給額)は、以下の天引き項目を控除して算出する。

差引支給額 = 月額給与(税込)
           − 源泉所得税
           − 住民税
           − 社会保険料(従業員負担分)

天引き項目は帳簿上の振替仕訳として記録されるが、現金の移動は発生しない。実際に現金が動くのは差引支給額の振込時と、各預り金の納付時のみである。

関連技術仕様: spec_rpa_hc.mdspec_stl_auto.md


7. 配賦ルール

7.1 配賦の目的

プロジェクト別損益を算出するため、複数のプロジェクトに共通する間接費(販管費・営業外費用等)を各プロジェクトに按分する。

7.2 配賦方法

按分方式定義適用例
売上高比各プロジェクトの売上高シェアに応じて配賦売上に比例する費用(営業関連費、マーケティング費)
工数比各プロジェクトへの要員稼働率シェアに応じて配賦人的リソースに比例する費用(管理部門の人件費)
均等割配賦先プロジェクト数で均等に分割特定ドライバーと関連しない共通費(オフィス賃料)
手動プロジェクト別の配賦率(%)を手入力上記ルールに当てはまらない特殊な配賦

7.3 配賦の対象と除外

区分対象
配賦対象の費用販管費(間接費)、営業外費用
配賦対象外の費用直接経費(プロジェクトに直接紐づく外注費等)、法人税等
配賦先プロジェクトプロジェクトマスタの配賦区分 = 「配賦先」のプロジェクト
配賦元(共通組織)プロジェクトマスタの配賦区分 = 「配賦元」の組織

7.4 PJ別損益の段階構成

段階計算式表示先対象読者
売上高プロジェクト直課の売上78タブ・79タブCFO・PJマネージャー
直接経費プロジェクト直課の原価78タブ・79タブ
労務費(配賦)工数比で配賦された人件費79タブのみPJマネージャー
限界利益売上 − 直接経費 − 労務費79タブのみPJマネージャー
共通費配賦額上記4方式で配賦された間接費78タブのみCFO
PJ営業利益限界利益 − 共通費配賦額78タブのみCFO
PJ経常利益PJ営業利益 ± 営業外損益配賦78タブのみCFO

79タブ(月次採算)はPJマネージャーが自身の管理可能範囲(限界利益まで)で判断できるよう設計されている(Controllability Principle)⁹⁾。

⁹⁾ 設計判断の詳細: ADR-0003 — 0078 vs 79タブの役割分担

関連技術仕様: spec_project_accounting.md


8. 前提条件と外部依存

8.1 入力データの責任分担

データ入力責任者入力タイミング正確性の前提
人員・給与マスタCFO / 経理担当入社・退社・昇給時月額給与・社保料率・源泉税額が正確に入力されていること
SaaS契約台帳経理担当契約開始・変更・解約時月額/年額・開始/終了月が正確であること
設備投資・借入台帳CFO取得・借入時取得価額・耐用年数・借入額・利率が正確であること
パイプラインCFO / 営業担当案件進捗に応じて随時確度・金額・契約形態が更新されていること
単発経費経理担当費用発生時科目名が科目マスタに存在すること
銀行入出金経理担当入出金確認後決済日・金額が銀行明細と一致すること

8.2 科目マスタの制約

  • 全ての費用・収益科目は、予め科目マスタに登録されている必要がある
  • 未登録の科目名は自動起票時にエラーとなる(キーワード推測による自動分類は禁止)
  • 科目名の照合は完全一致で行われる

8.3 現金残高の取扱い

本システムでは、現金・預金の残高をB/Sの他の全科目から逆算で求める(キャッシュプラグ方式)。

現預金残高 = (負債合計 + 純資産合計) − (現預金以外の資産合計)

このため、直接的な現金残高の入力は不要だが、全ての資産・負債・純資産の計上が正確であることが前提となる。

関連技術仕様: spec_bs.md


9. エッジケース・異常値処理

ケース処理
境界月(実績/予算の切替)実績月まではSTLベース、予算月以降はINVベース
noCash(決済手段「資産計上」「仕訳振替」)B/S即時計上、CF除外
負の金額(取崩し、返品)預り金−、売上−等で正しく反転処理
支払基準日 > 月日数月末日に自動キャップ(例: 31指定で2月→28日)
未払費用 vs 未払金の判定dmIsAccruedExpense_で科目ベースに判定

脚注: システム用語と会計用語の対応

システム用語会計用語説明
INV(請求データ)請求・債権債務明細費用・収益の発生を記録する1行のデータ
STL(決済データ)入出金・消込明細実際の現金移動を記録する1行のデータ
ORD(発注データ)発注・契約台帳請求データの親レコード(契約単位)
TRN(仕訳データ)仕訳台帳複式簿記の仕訳を記録する監査証跡
Action A費用計上・仕訳転記承認済み請求データから仕訳と決済予定を自動生成する処理
Action B決済消込・残高更新消込済み決済データから決済仕訳を生成し残高を更新する処理
RPA自動起票予算マスタから請求データを自動生成するバッチ処理
マート更新財務諸表の一括生成請求・決済データから全財務諸表を再計算するバッチ処理
期ずれ期間帰属のずれ費用発生月と現金移動月が異なること
キャッシュプラグ現預金の逆算B/Sの貸借一致を利用して現預金を算出する手法