起案者向け運用ガイド (Operator Guide)
⚠️ Status: Retired (Dify Phase, 2026-05-08, ADR-0019) 現運用ガイド (LangGraph 版): operator_guide_langgraph.md を参照してください。 Web UI: https://drp.bizlp.dev/ から直接起案も可能。
対象: 起案者 (社内メンバー / 業務委託パートナー / 代表取締役) で Decision Pipeline を使って ADR を起案する人 Phase: 2a 以降(Dify 版 — 退役済) 最終更新: 2026-05-08
1. はじめに
本ガイドは、bizlp-gas-accounting プロジェクトで アーキテクチャ・業務設計上の決定 を行う際の起案ルールをまとめたものです。
Decision Pipeline は AI を使って "判断品質を機械的に確認する関門" として動きます。AI 自動生成ツールではなく、人間の判断品質を審査するインフラです。
1.1 大原則
- AI は審査員、起案者は人間 AI は問診・採点・指摘を行いますが、決定の責任は常に起案者と代表取締役が負います
- 40 点未満は差戻し 品質スコアが 40 / 50 点未満の起案は PR 化されません。AI と壁打ちして起案者が自身でドラフトを磨くフロー
- AI に責任を委ねない PR 概要欄には「AI のレビューを踏まえた上で、最終的にこの決定で進めたい理由」を起案者自身の言葉で 1 行記述してください
- Status 遷移権限の分離
起案者は
Status: Proposedの PR を作成。Accepted/Supersededへの遷移は 代表取締役 が判断します
2. アクセス・アカウント発行
2.1 Dify アカウント
起案者には Dify のアカウントを発行します(Google SSO 経由)。
- 代表取締役から招待リンクが送られます
- 業務利用の Google アカウントでログイン(個人 Gmail は不可)
- 「Decision Pipeline」ワークフローにアクセスできることを確認
2.2 GitHub アカウント
GitHub への直接コミット権限は不要です。Decision Pipeline 経由で Bot が PR を作るため、起案者は GitHub アカウントを持っていなくても起案できます。
ただしレビューコメントへの返答には GitHub アカウントが推奨されます(オプション)。
3. ADR を起案すべきケース
以下に該当する判断は ADR にしてください:
| ✅ ADR にすべき | ❌ ADR 不要 |
|---|---|
| データモデル変更(タブ追加・列追加・削除) | 既存タブの値修正 |
| 仕訳ロジック・期ずれルール変更 | 軽微なバグ修正 |
| 外部 API・SaaS の追加・移行 | 既存 API のパラメータ調整 |
| 業務プロセス変更(締め日・承認フロー) | 通常の月次運用 |
| 不可逆なデータ移行 | データ整備 |
| 複数モジュール横断の設計判断 | 単一モジュール内のリファクタ |
| 採用 / 退職 / 業務委託の方針変更 | 個別の契約調整 |
迷ったら Dify の Gate 0(Triage)に投げてみてください。AI が「ADR 不要」と判断すれば差戻しされます。
4. 起案手順
4.1 ステップ 1: ドラフトを書く
Markdown 形式で以下を盛り込んだドラフトを作成します:
- 何を解決するか: 具体的な問題・目的
- 採用したい方針: 1 段落で
- 検討した代替案: 最低 2 つ、それぞれの不採用理由
- 影響: 正/負/リスク
- 撤退条件: どうなったら戻すか
💡 ドラフト作成段階で Claude Code / ChatGPT 等を壁打ち相手にするのは推奨です。ただし最終的な判断は自分で下してください。
4.2 ステップ 2: Dify に投入
Dify の「Decision Pipeline」ワークフローを開き、ドラフトテキストを貼り付けて実行します。
Gate 0 (Triage) の判定:
is_adr_worthy: false→ ADR 不要として終了。理由を確認is_adr_worthy: true→ Mode(Light / Standard / Critical)が判定され Gate 4 へ進む
Gate 4 (Scoring) の結果:
pass: true(Mode 別閾値以上: Light 35 / Standard 40 / Critical 45)→ 自動的に GitHub に Webhook 送信pass: false(閾値未満)→ スコア内訳と指摘を確認し、ドラフトを修正して再投入
4.3 ステップ 3: PR レビュー
合格時は BizLinkPartners/bizlp-gas-accounting に [ADR-NNN] ... というタイトルの PR が自動作成されます。
PR 本文には:
- 起案者名(あなた)
- Triage 結果(Mode / 理由)
- Scoring サマリ(10 項目 × 5 点)
- ADR ファイルへのリンク
- 起案入力原文
が含まれます。
代表取締役がレビューし、コメントが付いた場合は:
- GitHub 上で直接返信(GitHub アカウントがある場合)
- または Slack / メールで返信
4.4 ステップ 4: マージ
マージ前チェックリスト:
- PR 本文に「🔧 Pipeline 補強一覧」がある場合、各項目を確認し、設計意図に沿うものをチェックボックスでチェックする。これは Gate 1(socratic)が検出した盲点に対し、本文生成が起案者の生テキスト(Title/Context/Options)には無い補強策を織り込み、Cross-Validation が正当な根拠と認めて Accept した項目(ADR-0150)。承認の所在を ④受理層に一本化するためのもので、未チェックの項目が残っていると CI
adr-reinforcement-checklistが fail し merge できない。妥当でない補強があれば PR ブランチで本文を修正するか、close して起案し直す。
代表取締役が PR をマージすると Status: Accepted に自動更新されます。
PR が Close された場合は Status: Rejected に更新されます。理由を確認し、必要なら別案を起案してください。
Implementation Status の更新: 受理後に実装 PR を出すときは、本文の Implementation Status を In Progress → Done の順で起案者が手動更新します。段階的実装 (Phase 1/2 等) や PR 番号を詳しく書きたいときは、本太字欄を 6 値の短縮形 (Not Started / In Progress / Done / Partial / Reverted / N/A) に保ち、詳細を ## 実装状況詳細 (impl_detail) 節へ分離します (ADR-0162)。INDEX.md の「Impl状況詳細」列は本節を派生ビューとして表示します。使い方の正典は docs/adr/README.md の「impl_detail 節で詳細を分離する」節。
4.5 Retroactive Validation モード (ADR-0052)
既に main に取り込まれた ADR を 事後検証 (Pipeline 自己審査) する場合は retroactive モードを使う。誤って /chat/create-pr を呼んで不要な PR が生成される事故 (2026-05-18 PR #821) の構造的防止が目的。
起案フロー (chat UI):
https://drp.bizlp.dev/chatの「☁️ サーバー draft」セクションで「⬆️ アップロード」- ローカル JSON 選択 → ID 入力後、確認 dialog で:
- OK = retroactive validation 用 (PR 作成は無効化)
- キャンセル = 通常の新規 ADR 起案 (PR 作成可)
- retroactive=true で投入した draft をロードすると:
- 上部に 🔒 Retroactive validation mode banner 表示
- 結果画面で create-pr ボタンを非表示、代わりに notice 表示
- サーバ側
POST /chat/create-prも 422 Unprocessable Entity を返す (defense-in-depth)
新規 ADR 起案として PR 化したい場合: 同じ draft を retroactive=false で再アップロード (上書き)。
緊急時 (422 が誤発火する等): wrangler secret put RETROACTIVE_MODE_ENABLED false で即時 bypass 可。復旧後に secret を削除して vars のデフォルト ("true") に戻す。
注: chat-terminal UI (/chat-terminal) は本機能未対応 (ADR-0052 範囲外)。retroactive 用途では通常 /chat を使うこと。
詳細は ADR-0052 (docs/adr/0052-decision-pipeline-ui-retroactive-validation-mode-create-pr.md) 参照。
5. スコアリング基準(10 項目 × 5 点 = 50 点満点)
| # | 項目 | 配点 | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 1 | 問題定義の明確さ | 5 | 何が解決すべき課題か、現状の痛みが具体的に書かれているか |
| 2 | 代替案の網羅性 | 5 | 採用案以外に最低 2 つの代替案と却下理由が明示されているか |
| 3 | 判断基準の明示 | 5 | 評価軸(コスト/速度/保守性等)が明示されているか |
| 4 | 過去決定との整合性 | 5 | 過去 ADR との関係(準拠 / 拡張 / 矛盾 / Supersede)が言及されているか |
| 5 | 影響範囲の特定 | 5 | 変更が及ぶファイル・モジュール・データ・人物が列挙されているか |
| 6 | 運用上の罠の検証 | 5 | 後任がハマりそうな落とし穴・エッジケース・監視ポイントが書かれているか |
| 7 | 失敗時のロールバック性 | 5 | 撤回手順・データ復旧・互換性維持の経路が示されているか |
| 8 | コスト試算 | 5 | 初期工数・運用コスト・移行コストが粗くでも数値で書かれているか |
| 9 | 検証可能な完了条件 | 5 | 「何が起きたら成功か」が観測可能な指標で定義されているか |
| 10 | 長期的影響の言及 | 5 | 半年〜1 年後の負債化リスク、Review After 日が設定されているか |
Mode 別の合格閾値:
| Mode | 閾値 | 備考 |
|---|---|---|
| Light | 35 / 50 | 平均 3.5 点 |
| Standard | 40 / 50 | デフォルト。平均 4 点 |
| Critical | 45 / 50 | 平均 4.5 点。不可逆な決定はここ |
各項目は 0〜5 点で採点されます(5=模範的、4=十分、3=最低限、2=具体性に欠ける、1=ほぼ未記載、0=完全に欠落)。
5.1 よくある不合格パターン
| パターン | スコア低下項目 | 改善ヒント |
|---|---|---|
| 「他社もやっているから」 | #3 判断基準 | 自社の文脈で再評価 |
| 「とりあえず始めて様子を見る」 | #7 ロールバック性 | 撤退判定の指標を数値で |
| 「他に方法がない」 | #2 代替案 | 「やらない」を含めて 3 案以上 |
| 「リスクは特にない」 | #6 運用罠 | 必ず何かある。最悪ケースを言語化 |
| 「〇〇を改善する」(曖昧) | #1 問題定義 | Before/After を具体的に |
| 「過去 ADR は知らない」 | #4 過去整合性 | 既存 ADR 一覧をざっと確認 |
| 「コストは大したことない」 | #8 コスト | 工数 N 人日・月額 X 円で具体化 |
| 「うまく動けば成功」 | #9 完了条件 | KPI / 監視メトリクスで定義 |
6. Mode の判定基準
Gate 0 で AI が以下のように判定します:
| Mode | 該当例 | 求められる充足度 |
|---|---|---|
| Light | 局所的・低リスク・1 人で完結 | コンテキスト・決定・影響のみで可。代替案・撤退条件は省略可 |
| Standard | 複数モジュール・中リスク | 全セクション必須 |
| Critical | 不可逆・データ移行・外部依存・予算/工数大 | 全セクション + 撤退条件を厳格に |
Mode が Critical と判定されたのに Rollback Plan が薄いと、Gate 4 で大きく減点されます。
7. 緊急時・パイプライン停止時の手動起票
Dify / Cloudflare Worker / GitHub Actions のいずれかが停止している場合、代表取締役の判断で 手動起票 が可能です。
7.1 手動起票の手順
- ローカルで
docs/adr/_template.mdをコピーし、docs/adr/NNN_slug.mdとして保存(NNN は次の連番) - ブランチ
manual/adr-NNN-slugを切り、コミット - Push して PR を作成(タイトル:
[ADR-NNN][manual] 要旨 (Mode)) - PR 本文の冒頭に「手動起票理由(パイプライン停止 / 緊急判断 等)」を明記
- ラベル
adrmode:*status:proposedmanual-bypassを手動付与
7.2 Bypass の制約
- 手動起票は 代表取締役 / 開発実装担当 のみ実施 (権限分離)
- 手動起票は週次の振り返りで件数を確認し、パイプラインの不安定要因を特定する材料にします
8. FAQ
Q1. 同じトピックで何度も差戻されます
A. AI と壁打ちしてドラフトを磨く時間を取ってください。それでも 40 点に届かない場合、その判断は本当に必要か / 別の解き方はないか を再考してください。
Q2. 急ぎで決めたい
A. それは ADR 化すべきでないサインかもしれません。本当に急ぎなら手動起票(代表取締役判断)も可能ですが、後から「なぜそう決めたか」を問われた時に答えられる根拠は事前に整理してください。
Q3. 過去の ADR と矛盾する決定をしたい
A. Phase 2a では自動チェックがありません。Superseded by ADR-XXX を新 ADR の References セクションに明記し、PR 本文でも触れてください。Phase 2c で Gate 2(過去整合性チェック)が追加される予定です。
Q4. AI のスコアに納得できない
A. AI は審査員ですが完璧ではありません。スコアに納得できない場合、PR 本文の「最終判断理由」セクションに反論を書いてください。最終的には代表取締役が判断します。
Q5. PR が立ったあと修正したい
A. PR が Status: Proposed の間は、起案者がコミットを追加して修正可能です(GitHub アカウントが必要)。アカウントがない場合は代表取締役に修正を依頼してください。
9. 関連ドキュメント
- Decision Pipeline 全体像
- Phase 2a 設計書
- Triage プロンプト v0.2
- Scoring プロンプト v0.1
- プロンプト検証用テストケース集
- ADR 運用ガイド
- ADR テンプレート
変更履歴
| 日時 | 変更内容 |
|---|---|
| 2026-05-07 | 初版作成(Phase 2a 着手・実装前のドキュメント整備) |